母の認知症が急に進んだ原因は…

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母が認知症になったと気付いたのは、電話がきっかけでした。

電話の向こうでいつも通りに世間話をする母。ですが母の話し方は、いつも通りではありませんでした。

そのときの様子を、過去記事「母が認知症になったと気付いた日」に書きましたので、できればそちらからご覧いただければ幸いです。

母の様子がおかしいと気付いたのは、約1年前。「久し振りじゃないの?どうしてるの?」母からの電話。いつも通りの話の切り出し方だった。私から母に電話を掛けることは滅多にない。母からも、ごくたまにしか電話を掛けてこない。「うん、まあ、いつも通り。」私は不...

日に日に物忘れが激しくなり、同じ話を繰り返すようになった母。

認知症の初期段階だと診断されてからは、一日一度の投薬で様子を見る日が続いていました。

母一人だけでの外出は不安があるので、通院や買い物等にはいつも父が付き添っていました。

父も高齢ですが年齢なりに健康だったので、私も妹も父に任せていました。

そして時間が経つにつれ、私は両親についてはあまり思い出すこともない生活に戻っていきました。

あの恐ろしい事故が起きるまでは

父が血まみれで緊急搬送された

とある日の夕方。さあ晩御飯を食べよう、とテーブルに座ったところでした。

電話が鳴りました。妹からでした。

「お父さんが事故を起こして、救急車で運ばれた。危ない状態らしい。」

病院に着くと、憔悴しきった様子の母が、ナースに付き添われて廊下の椅子に座っていました。

しばらく待って身内が揃ったところで、別室に呼ばれ医師から説明を受けました。

医師の話では、父は道で転んで頭を強く打ち、頭蓋骨と脳に深い損傷を負ったということです。

今は昏睡状態で、最悪の場合はもうこのまま…ということでした。

かなり待たされた後、私たちは病室に入ることを許可され、ベッドに横たわる父の姿を見ることができました。

同窓会に出席するとご機嫌で家を出て行った父の変わり果てた姿に、母は言葉も表情もありませんでした。

どうして病院にいるの?

父の事故のショックが余りに大きかったせいか、母は当時のことをほとんど覚えていません。

いつ頃、誰から連絡が来たのか、何と言われたのか

誰が母を病院まで連れて行ってくれたのか

何もわからないそうです。

ただ、自宅で過ごしていて気が付いたら自分がなぜか病院にいて、傍に警官とナースが立っていたと言うのです。

母は事故のショックで一時的に混乱しているだけだ、そのうち落ち着きを取り戻すだろうとその時の私は軽く考えていました。

お世話になったこともわからず

事故の翌日から、病院と実家、役所、スーパー等を行ったり来たりする生活が始まりました。

近くに住む親戚「ヒロちゃん」は事故当日から、母を車で送ってくれたり買い物に付き合ってくれたり、差し入れを持って来てくれたりと本当によくしてくれました。

母もヒロちゃんには大変感謝していました。

数日後、ヒロちゃんから電話が来ました。今日は忙しくてそっちに行けないから電話だけでもと言って、掛けてきてくれたのです。

電話に出た母が、ヒロちゃんにこう言いました。

「あらヒロちゃん、どうして事故のこと知ってるの?誰かから聞いたの?」

電話の向こうで戸惑うヒロちゃんの顔が目に浮かびました。

しばらく会話した後、再び母が

「事故のこと、あなたがどうして知ってるの?」

と言い出しました。

その数日後には、母は私に

「ヒロちゃんったら、事故のことを誰かに聞いたらしいけど一度もお見舞いに来ないし、ウチにもちっとも来ないのよね。」

ああ、あれほど気遣ってもらっていろいろ奔走してくれたヒロちゃんに何ということを言うのでしょう。

母は元来律儀な性格で、お世話になった人には必ずお礼をし、いつまでも恩を忘れない人だったのに。

父の友人やご近所さん達も心配して電話を掛けてきてくれたり、差し入れを持って来てくれたりしましたが、それも母は全て忘れています。

流れ落ちるように記憶が消えてゆく

父の事故をきっかけに、もろくなっていた母の記憶力は更に壊れていきました。

さあ父のお見舞いに行こうと、引き出しからカギを取り出しカバンに入れた瞬間

「引き出しに入っているはずの鍵がない!」

と慌てて引き出しを探し始めます。

ほら、ここに入ってるよ今自分で入れたでしょとカバンを開けてカギを見せると安心しますが、次の瞬間にまた

「引き出しに片づけたはずのカギがない!」

と騒ぎだします。

鍵がない、ここにあるよ、のエンドレスです。

鍵だけではありません。財布、上着、携帯電話、テレビのリモコン、誰かの連絡先を書いたメモ…

次から次に「ない!ない!」と大騒ぎです。

ついさっきの自分の行動すら、覚えていません。

一時間前に自分用に買ったお弁当が、空っぽになってしまったのはなぜなんだろうと真剣に悩んでいます。

母が体調の悪い日は私が1人で病院に行きますが、私から父の様子をひとしきり聞いた後で

「あんたも一度くらいはお見舞いに行ってあげなさいよ。自分の親なんだからね。」

と言います。

まるで滝が流れ落ちるように、記憶が次々に母の中から流れ落ちていきます。

母は日常のあらゆることにおいて、支障をきたし始めました。

そして支障が起きたのは、母の生活だけではありませんでした。

レクタングル大

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