「カエルの楽園」。読んでいてこんなにイライラした本はありません。
素直な感想は「日本人をバカにするな!」です。
ここまで日本人を愚かに描いて、一体著者は何が言いたいんでしょうか。
いやわかるけどね、何が言いたいのかくらいは(笑)
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あらすじ
登場するのはほぼ全員カエル。
童話風に描いていますが、描かれているのは一つの国家が滅んでいく過程です。
いや違うな。国家が滅んでいったのではなく、ツチガエル達が守るつもりで自ら滅ぼしたんですよ。
素晴らしい彼らの国「ナパージュ」を。
ダルマガエルに故郷を侵略されたウシガエルのソクラテスとロベルトは、どこかにあるはずの楽園を探して旅に出ました。
しかし行けども行けども、辿り着くのは争いと貧困と恐怖に満ちた国ばかり。
この世に楽園などないと二匹があきらめかけた矢先、ようやくあり得ないほど平和で美しい国「ナパージュ」にたどり着きました。
「三戒」と呼ばれる絶対ルールに従って生きるナパージュの民であるツチガエル達。
ツチガエル達はよそ者のソクラテスとロベルトにも親切で誠実、そして清潔でお気楽。
この殺伐とした世界でナパージュだけが平和を維持できているのは、紛れもなく「三戒」のお陰。
ツチガエル達が「三戒」を守り続ける限り、ナパージュの平和は奪われることはありません。
祖国を失い、世界の張りつめた有様を見続けてきたロベルトとソクラテスは
「ナパージュこそ地上の楽園。カエルの楽園を遂に見つけた!」
と感動します。
三戒の素晴らしさを理解し、三戒を守るツチガエル達に馴染んでいくロベルト。
しかしソクラテスだけは、三戒によって守られている平和というものに違和感を覚え始めていました。
あるとき、境界線を越えてナパージュに侵略して来ようとする恐ろしいウシガエルが現れました。
三戒があるから大丈夫、怖いウシガエルも三戒を破ることはできないと語るツチガエル達とロベルト。
ソクラテスはさらに強い不安と違和感に衝かれ始め、やがてナパージュは止めようのない大きな波に自ら吞まれていくのです…。
イライラ→ハラハラ
迫りくるウシガエルの恐怖になんの手も打たず、極端に言えば
「平和を愛する心があれば、いつまでも平和が続くに決まっている。大切なのは気持ちよ❤」
なツチガエル達が、どうしようもなく愚かでイライラしました
「まあ、カエルの世界って大変ねー。」と絵本を読む気分で読み進んでいた私ですが
徐々に表現があからさまになっていくに連れ、著者への嫌悪感までも発生してしまいました(笑
デイブレイクってあれでしょ?お日様マークの。
三戒ってどう考えてもあれでしょ?
誰もが記憶に新しい、実在の有名人の発言をそのままカエルのセリフとして書いているので、わかりやすさは抜群です。
呼ばれてないのに度々現れて、ガチャガチャうるさいハンドレッドに爆笑。確かにねーあんたはねー(笑
「ね、ツチガエルってバカでしょ?読んでるあんた達もツチガエルと同じだよ。」
と言いたいだけの筋運びに大変イライラしました。
ですがカエルの議会が始まるころから、物語に緊迫感が生まれてグイグイ引き込まれていきましたよ。
議会でたった一人、具体的な戦略を立てようとするプロメテウスに
「行け、プロちゃん、アンタだけが頼りや!」
と心の中でガッツポーズしました。
「悪の存在」として処刑されたハンニバル兄弟が、動かぬ体でそれでもなおツチガエル達を守ろうと飛び出してくる場面は鳥肌がたち、涙が出ました。
ですが大多数のツチガエル達にとって、平和とは「心」で守るもの。
プロメテウスやハンニバル三兄弟のように
「予測と予防、計画と準備と実行」
を叫ぶ者たちは、戦争を渇望しているに決まっている排除されるべき悪の存在なのです。
なぜあそこで手を打たなかったんだ、なぜあの時点で止めなかったんだ、と後からいくら思っても取り返しがつかないことがあると、ツチガエル達はいつか思うことがあるのでしょうか。
それとも永遠に、ズタズタに引き裂かれた「三戒」を胸に抱いて生きていくのでしょうか。
「カエルの楽園」は日本のことではないし、ツチガエルは日本人のことではありません
「カエルの楽園」は日本の将来を予言した本だと言う人たちに言いたい。
日本人を舐めるなと。
日本人は「カエルの楽園」のツチガエルのようにはならない。なるわけないと信じています。
どんなにお気楽でも、漠然とした不安や違和感の原因が何なのか気付くことができるのが日本人です。
日本のプロメテウスはきっと現状を打破してくれると私は信じていますし
日本のハンニバル三兄弟は嫌悪する人も多いけれど、頼りにしている人々も多いと思うからです。
日本が大切だと思うなら、海外を見よう
個人的には、ツチガエル達はもっと外の世界に触れるべきだったと思います。
ソクラテスとロベルトのように世界中で何が起きているのかを知っているツチガエルが多ければ、ナパージュは滅びることはなかったでしょう。
私も偉そうに言えるほど海外に触れたわけではありません。
ですが仕事で海外に行ったり、職場の外国人たちと話す経験が多少はありました。
今の私が日本が大好きなのは、若いときにそういう経験をしたからだと思っています。
私の場合は、海外を知れば知るほど日本が好きになっていきました。
人によってはその逆も大いにあり得るでしょう。
ツチガエル達には留学、赴任、自分探し
何でもいいからしばらく思い切ってナパージュの外で暮らしてみてほしかったです。
短期間でも外国で生活をしてみると、数日間の海外旅行ではわからないことがたくさん見えてくるはずです。
それが難しければ、ナパージュの中で外の世界のカエル達と話す機会を持ってほしかったです。
手近なところでは英会話の先生、学校に来ている留学生、職場にいる研修生、アジアンレストランの店員さん等々…。
ナパージュ以外の国では自国について子供達にどんなふうに教えているか、歴史観、平和について、自分自身について等、これらは雑談しながらでも伺えます。
そうするうちに、ナパージュの素晴らしいところが浮き彫りになり、もっとナパージュを大切に感じられたかもしれません。
逆にナパージュの問題点を知ってしまい、何とかしなければと思うかもしれません。
男性が情熱的でステキだと言われているかの国では、デイブレイクもドン引きしそうな愛国教育が行われていることを知らないツチガエル達も多いでしょう。
特定の国を貶せば貶すほど、自分の国の格が上がると思ってるんだよ、ほんとひくわー。
かの国の男性たちは兵役経験があるから強くて頼もしくて優しいのよと言った日本の女性政治家がいました。
彼らが軍隊で誰を敵想定して戦っているか、国会議員の彼女が知らないわけではないでしょう。
海外の人たちが傷つくような本をホテルの客室に置くなと外国の政府が抗議してくることが、どれだけ理不尽で恐ろしいことか、もっと知ってほしいです。
それを言うなら韓国のホテルで見たテレビ番組で、私は日本人としてとても悲しく悔しい思いをしましたが?
そして永世中立国とは永久に戦争をしない国だと、勘違いしている人たちが多すぎます。
ナパージュが好きなら、ナパージュの平和を守りたいと思うなら海外を知ってほしかったです。
「三戒」というただの文章が平和を守ってくれるって、児童文学も笑い出すようなバカ設定が実在するのが今のナパージュです。
海外に目が向かないほどナパージュが住みやすい国だったことが、逆に仇となってしまったのかも知れません。
「カエルの楽園」ってつまりどうなのよ?
ストーリーは面白いです。
ですが著者の政治的思想が余りにも強調されているため、読みづらいと感じる人も多いと思います。
賢VS愚の対比が露骨すぎると私は思いましたし、特定の人物や組織を美化しすぎているとも感じます。
でも私は、この本は思想に関わらず大勢の人たちに読んでもらいたいです。
中学生以上なら、この物語が言いたいことが理解できるでしょう。
ツチガエル達に賛同できるかできないか、じっくり自分の気持ちを掘り下げてほしいと思います。
中学生ならそれくらいできるはずです。
うーん、偏らないように感想を書くのって難しいね。
百田氏のファンではありませんが、問題提起としてはとても面白く読みましたし、文章も読みやすいですよ。
イライラ→高揚→虚しさへと読者を導いていく手法も上手いです。
カエルの楽園がベストセラーになったことは、素晴らしいことだと私は思っています。
日本が危機的状況にあることを、薄々でも感じていた人が大勢いるということですから。
なんだかまとまりのない文章ですが、一言で言うと「この本、イラッとくるけどスキ」です(笑)
百田氏の著書が原作の映画「海賊と呼ばれた男」にも期待しています。
ひらパー兄さん今年も応援してます♡